素敵な贈り物

今回、東京から名古屋に来るにあたって、

 

16年間過ごした「東京」の街、

11年在籍した「会社」

そしてそこでつながった「仲間」

 

名残惜しく思いながらもお別れしてきたわけだけど、

たった1年弱のお付き合いにもかかわらず

すごく後ろ髪惹かれる思いでお別れしてきたものがある。

 

東京生活最後に住んでいた方南町で、

ほぼ毎週通っていた定食屋さんだ。

 

ご夫婦で切り盛りしているお店で、

初めて入った時は、少しぶっきらぼうな感じの印象があった。

コロナ禍というのに、店主はマスクしてないし、

客足落ち着いてきたらタバコ吸ってるし。笑

 

でも、そこで出される食事は、

健康的で、品数も多く、そして何より美味しくて、その割にお手頃な値段

ついついなんともいえない魅力にひかれて

2、3回目に行ったぐらいの時だっただろうか。

ふと店のご主人(マスター)に話しかけられ、

食材1つ1つへのこだわりを語る姿をみて、

ザ・職人の店だなあと思い、より興味が増していった。

特に私のパートナーが食べ物の話に目がなく、

「〇〇産のこんぶ」とか「〇〇産のカブ」とか、

そういったことにやたら食いつくタイプだったのと、

とにかく職人気質の人が好きだったから、というのもあるけど。

 

気づいたら、毎週土日のどちらかはその店に通うくらい、

方南町での生活からは切り離せない場所になっていった。

 

訪れる度に出てくる、手の込んだ和食

メインは煮魚や焼き魚、肉、さしみ、天ぷらなどその時によって様々だけど、

付け合わせで出てくるおかずも「小鉢」どころではなく

かなり手の込んだ煮物だったりサラダだったり、山菜料理だったり、

とにかく毎回、何かしらの新しい発見や感動があったりして、

かなりの満足感で帰ることができた。

 

食事はもちろん、通うことで仲良くなったマスターと奥様との会話。

こちらの話をすることもあれば、

ご主人が昔、麻布でフレンチのお店をやっていたことなど、

いろんな話をした。

夜のメニューにはデザートがつくのだが、

これが和のものもあれば洋のものもあったりして、

ところどころに、元フレンチシェフならではのこだわりや

和洋の融合がみられて、特別な感じがした。

 

とにかく、毎週そこに通って、

美味しくて健康でこだわりの詰まった料理を食べながら、

他愛もない会話をしながら時間を過ごすのが、

方南町での私たちの日課となっていので、

そういう場所がなくなるというのは寂しいもの。

 

名古屋にきて、

次の仕事が始まるまでの十分すぎるほどの時間の中で、

マスターとメールでやりとりしながら教えてもらった料理を自炊したり、

餞別にもらった生ハムをサラダに入れて食べたりしながら過ごす。

 

と、昨日。思わぬ素敵な贈り物が。

先日入籍したことを報告したら、お祝いにとマスターから

「プロ用の鍋」が贈られてきた!

 

いつも鍋なんて、適当にスーパーで買って、

1年くらいでダメにして買換え、ということがほとんどだったけど、

見るからにゴツくてしっかりしてて、

大事に使わなきゃ、という感じのお鍋。

わざわざ合羽橋で選んできてくれたらしい。

さらに、オレンジピールの砂糖漬のおまけつき。

 

初めてあの店を訪れたとき、

こんな風になるなんて想像もしてなかったけど、

何気ない日常の中で人とつながっていってこういう関係を築けるって

素敵だな、としみじみ。

 

せっかく立派な鍋をいただいたので、

これから少しずつ、料理のレパートリーを増やして、

丁寧な暮らしをしていけたら、とおもいます。